林 直 写真展
 
           いつみきとてか・・・その後 

                 〜時間の隙間に消えてしまうものへ〜    

                             
         会  場:             ぎゃらりー・きょうばて          
                                 〒630-8315              
                                 奈良市中辻町80-8 ナガノカメラワーク2F
                                            tel & fax 0742-23-0306

         会  期:              2007年1月15日(月)〜2月17日(土)  
                                          10:00〜18:00 (日祝休廊)


 「ぎゃらりー・きょうばて」は写真好きな仲間が集まって様々な写真イベントを開
催している「ならフォト・ワークショップ」を立ち上げた長野浩さん(普段はカメラ
修理のお店を経営されている方)がお店の二階を改築し、去年夏からオープンされた
自主ギャラリーです。お店と同じく古民家を改修工事され、ほっこりとくつろげる空
間になっています。
 去年の9月から10月にかけて京都のprinzさんで展覧させていただいた作品をぜひ
とも地元に近い奈良ででもご紹介したいと会場を探しておりましたら、長野さんのご
厚意でお借りできることになりました。奈良駅からは少し歩くような場所ではありま
すが、途中「ならまち」など魅力ある町並みを散策すると時間も距離もわすれてしま
うような楽しいところに位置します。この機会にお立ち寄りいただけるとこの上ない
慶びです。ぎゃらりー・きょうばてを今後とも併せて宜しくお願いいたします。

                                                                              林 直             






             いつみきとてか・・・その後

                           〜時間の隙間に消えてしまうものへ〜


---あの頃から10年が過ぎようとしている。周辺の山や川が消えて無くなったわけで
はないが、数年のうちに身のまわりの風景はがらりと変わった。そして人は昔そこに
何があったかをきれいに忘れ去ろうとしている。仕方のないことだとは解っているが、
この地を愛してしまったものとして何とも切ない気持ちが今も心に深く残り続けてい
る。忘れることが幸せなこともあるのだと今になって気づく。そういう意味において
写真は、とても残酷な道具かもしれない---
 この展覧会は今から10年ほど前に撮影したものと最近のものとを並べて構成してい
ます。生まれ育ち慣れ久しんだ風景が、区画整備事業のためになくなってしまうこと
を知り、せめてその姿を写真に残しておきたいと思い貪るように撮影したのが、つい
昨日のことのように思い浮かびます。99年にそれらの写真をまとめたものを発表しま
した。「いつみきとてか」はその展覧のタイトルであり、これはこの地で詠まれた百
人一首の歌から借りたもので現代語訳すると「いつ見たというのでしょう」という言
葉になります。その後2000年には変化し始めた風景も少し含んで展示しました。それ
からしばらく、私は変わりゆく風景にカメラを向けることが出来なくなってしまいま
した。大切に思ってきた風景が見るみる破壊されていく様は、想像をはるかに超える
ほどむごいもので、とても辛く悲しいものでした。写真家として変化を見続け、写真
に残していくべきではないかと幾度となく葛藤を重ねるうちに驚くほど長い時間が経っ
てしまいました。
 今おもむろにこれらの作品を発表しようと思い立ったのは、この地を愛し撮影して
しまった責任を取ることと、放っておいたら人々の記憶から消え去ってしまうであろ
うみずみずしい思い出をもう一度眺めることもひとつの幸せではないかと思い始めた
からなのです。さらに付け加えたいのは、この写真は私個人の思いにより成り立って
いるものですが、日本中の至るところでこのような変化が今も起こっている事実があ
るということです。

                                      
                                                                                     林 直



           林 直 Tadashi Hayashi

1967年、写真館を営む両親のもとに生まれる。'90年、大阪芸術大学芸術学部写真学
科を卒業。札幌の企画会社に入社、「東川町国際写真フェスティバル」の企画運営を
補佐。'93年末に退社し家業を継ぐ。傍ら「ならフォトワークショップ実行委員会」
の運営に参加。'01年より京都造形芸術大学・非常勤講師を、'06年より京都国立近代
美術館・客員研究員を兼務。現在に至る。

[作品発表]
1992年 日本カメラ掲載/11月号
1993年 日本カメラ掲載/3月号
1993年 林直展×勇崎哲史展 ART SPACE 201/札幌
1995年 「PRIVATE INDEX」展 コンチネンタルギャラリー/札幌
1997年 東川町国際写真フェスティバル・スライドライブ「写真の星座」出品
1997年 グループ展「東のエデン」 The Third Gallery Aya /大阪
1998年 日本カメラ掲載/12月号
1998~99年 個展「いつみきとてか」 コニカプラザ/東京・札幌・大阪 他
1999年 「古寺秋天」展 国際奈良学セミナーハウス/奈良
2000年 「新鋭展 それぞれのMAHOROBA」 奈良市写真美術館/奈良
2002年 「Asian Crossing vol.1 韓国×日本」展 京都芸術センター/京都
            〃         大邱文化藝術會館/大邱 韓国
2005年 韓日青年作家交流展 ソウル・広州 韓国
2006年 個展「いつみきとてか・・・その後」 prinz/京都